栄養ドリンクに入っているイメージがある「タウリン」。
疲労回復の効果が期待される成分ですが、実はこのタウリンが老化防止に役立つかもしれないという研究結果が発表されたんです!
「タウリンが時を戻す」と表現されるなど、老化防止への期待は大きいことがうかがえます。
しかし、タウリンについて詳しく知っている人は少ないかもしれませんね。
「そもそもタウリンとは?」
「タウリンがどのように老化防止に役立つの?」
など、タウリンと老化防止の関係について、研究結果とともにご紹介します。
目次
タウリンとは?
タウリンはアミノ酸の一種で、人体をつくるために必要な成分です。
もともと人の臓器に存在している成分で、脳や心臓、肝臓や骨格筋、網膜などに特に多く含まれています。
体の機能が働きすぎたら程よく抑え、低下したら向上させるなど、体温や血圧の調整をするのもタウリンの役割です。
このように、体の機能を調整する働きをすることから、栄養ドリンクに含まれるようになったのです。
タウリンと老化の関係
人の体をつくるために欠かせないタウリンですが、なぜタウリンが老化と関係あるのか気になりますよね。
タウリンは年齢とともに減少することがわかっています。
5歳と60歳の血中のタウリンの量を比較すると、60歳になると3分の1になるのだそう。
タウリンは骨をつくるために必要な成分で、それ以外に免疫機能や神経にも関わっています。
年齢とともにタウリンが減少することで、骨や免疫機能、神経が衰え、老化につながるのではないかと考えられています。
米コロンビア大学が発表!タウリンが老化防止に役立つ可能性
米コロンビア大学などの国際研究グループが、中年期の動物にタウリンを与えると寿命が延びたという研究結果を発表しました。
タウリンが老化防止に役立つという結果に、大きな注目が集まっています。
ここでは、研究結果をもとにタウリンと老化防止の関係についてご紹介します。
タウリンを与えることで寿命が延びる
米コロンビア大学は、まず「タウリンには老化を遅らせる働きがある」という仮説を立てます。
それを立証するために、人間の年齢にすると45歳程度のマウスにタウリンを毎日1度与える実験を行いました。
すると、タウリンを補給しなかったマウスと比べて、
- オス:10%
- メス:12%
と、それぞれ寿命が延びたという結果になりました。
人間に換算すると7~8年に相当するそうです。
タウリンの補給で期待できること
人間の年齢にすると65歳程度のマウスに1年間タウリンを与えたところ、
- 体重増加の抑制(メス)
- エネルギー消費量の増加
- 骨量や筋力の増加
- 不安を示す行動の減少
など、タウリンを補給しないマウスと比較して、健康状態が良いことがわかりました。
また、中年期のアカゲザルにタウリンを半年間毎日与える実験では、
- 体重増加の抑制
- 血糖値や肝機能の数値の改善
- 脊髄や脚の骨密度アップ
などが明らかになりました。
寿命を延ばすだけでなく、健康を維持する役割がタウリンに期待できるというわけです。
老化防止効果があるかどうかは臨床試験が必要
研究グループは動物実験のほかに、欧州各国の60歳以上を対象にタウリンを与える研究を行っています。
実験に参加した約1万2000人の体内のタウリン濃度や健康状態の関係を調べたところ、
- 2型糖尿病
- 高血圧
- 肥満度
などが低いことがわかりました。
タウリンは年齢とともに減少しますが、タウリンを補うことで健康や寿命に影響を与えることがわかったのです。
しかし、現時点では「タウリンは老化防止に役立つ可能性がある」というところにとどまっています。
老化防止効果を確認するためには、さらなる臨床試験が必要と指摘されています。
日本人はタウリン摂取量が減っている
年齢とともに減少するタウリンですが、日本人はタウリン摂取量が減っているといわれています。
タウリンは自然界にも存在する成分で、おもに魚介類に多く含まれています。
魚介類の消費量が減っているため、タウリンの摂取量も減っているというわけです。
タウリンは食事からも比較的簡単に摂取できる成分なので、意識的に取り入れていきたいですね。
普段の食事からタウリン摂取を意識しよう
米コロンビア大学などの国際研究グループが発表した「タウリンが老化に役立つ可能性」という研究結果により、今まで以上にタウリンが注目されています。
年齢とともに減少するタウリンを積極的に摂取することで、寿命を延ばすだけでなく健康な体へと導いてくれるかもしれません。
まだ臨床試験が必要であるとの指摘もあるため、今後の研究結果や発表にも注目しましょう!
<参考>
Taurine May Be a Key to Longer and Healthier Life
タウリンは老化防止に役立つ可能性 米コロンビア大の動物実験で判明